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それまでは結婚の儀式にあたるようなものは日本にはなく、花嫁が親族とともに、嫁入り道具(長持ち)をかかえた男衆を引き連れ、花婿の家へ嫁入りすることが300年以上続いてきた一般的な結婚でした。婚家の座敷(神棚や仏壇のある家の中で最も神聖な場所)で3日3晩親族や近隣の方々を呼び、祝宴を挙げ、祝言(しゅうげん)を賜わったのが現在の披露宴のはじまりです。だからこそ花嫁行列が一種の儀式のようになり、華やかな人生の晴れ舞台として当時の女性の憧れになったと思われます。
ただ、昭和初期までは旧来の祝言がまだ一般的で、戦中戦後はなにも行わず、入籍しただけという人も多く、神前式が本当におこなわれ始めたのは昭和30年頃からです。
そのため披露宴の豪華さを競い合うことに重きが置かれ、また団塊の世代の婚期と重なり、多くの結婚式がおこなわれたため、日本型ビジネスとして商品化し、ホテルや式場は多くの結婚式を受けるために、神前での結婚式は式場内で簡略化した型でおこなわれるのが当たり前のようになりました。
昭和50年代の終わりくらいからは、チャペル結婚式が流行り始め、神前式は少なくなりました この当時は日本的なものが古臭く感じる風潮にあり、西洋風なものをお洒落なものと捉える時代背景もありました。さらに、すでにビジネスモデルとして確立していたため、相変わらず披露宴の豪華さや、華美な演出に重きが置かれ続けました。でも、豊かさの中で育ってきた世代が中心となったこのころから、華やかさや豪華さは新鮮なものでなく、特にバブル崩壊以降は必要以上にお金のかかる豪華な結婚式が徐々に楽しいものでなくなっていったのも事実でしょう。
日本の結婚式が大きく形を変えたこの100年のあいだ、欧米諸国をはじめとする諸外国の一般的な結婚式のかたちはあまり変わっていません。すでに価値観が確立していたためです。それは皆が神聖な儀式に厳かさを感じ、そののち楽しく過ごせる時間を共有する結婚式です。
多額の費用がかかる結婚式ではありません。神社は神社本来の役割の一環として結婚式をおこなっており、結婚式のための神社ではないからです。神社で結婚式を挙げる方は、結婚式後の披露宴や食事会も結婚式用の食事会場でなく、普段から贔屓にしているレストランや料亭で楽しくカジュアルな披露宴をおこなう方が圧倒的多数です。この価値観は100年変わらず続いてきた欧米の成熟した結婚式の価値観に近づいてきているように思います。
家族や親しい方にこそ喜んでいただくのが、昔から日本の祝言です。伝統の美しさがこころを和らげてくれます。 日本人が経済成長してゆく過程において、欧米的なものや豪華さを喜びに感じる世代があったことも事実ですが、現在の私たちには必要以上の豪華さをそれほど有り難く感じ得ません。豪華さに代わる精神的な充実度を求めたときに、1000年以上にわたり日本人の心のよりどころとなってきた神社での結婚式が、世代を問わずだれもが厳かさを感じる結婚式として支持され始めているのだと思います。 |
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